口・眼・鼻・耳・肛門 - 

 ・歩きながら物にぶつかったり、つまずいたりする
一般家庭のペットは、自分の行動半径のなかにある物にはたいていなれてしまい、形やにおいで分別がつくとおもわれます。つまり、いつも一定の所をあるいていれば、物につまずくとか、ぶつかるなどは考えられない事です。また動物の行動をよく観察していると、明るい時と暗い時とでは身のこなし方がちがうことに気づきます。
ある日、急になれたところで、いじいじとした動作をしたり、明るい日中に、暗いときと同じ用心深い動作が見られたら、視力の異常かもしれません。視線のうつし方をとくに注意してみてください。
動物にもいろいろな原因で失明や視力の減退する場合がありますが、多くはこれを自分の鋭いきゅう覚で補ってしまいますから、飼い主でも気づかない事が多いのです。
単純な眼の病気と全身に影響する大病の一つの症状としてあらわれる場合がありますから、ほおっておくのは危険です。

 ・明るい所では目を開けられない
明るい所、つまり光や、または日光の紫外線のあるところを考えてみてください。この症状には二通りの病気が考えられます。
一つは瞳孔反射が異常な場所で、主として目の神経の病気です。瞳孔が縮まなくなってしまうので、まぶしくて目を開けていられないのです。もうひとつは結膜炎、角膜炎、瞬膜炎など、眼球の周囲にある粘膜の病気で、紫外線に当たったり、空気に触れると痛い場合です。それぞれに原因を確かめておかないと治療することができません。人用の目薬など勝手にさしてはいけません。

 ・目やにがでる
眼球はいつもしめっています。涙腺から出る分泌液の涙がそのしめらせる役目を負っています。目にゴミが入ったり、刺激性の気体にふれると、涙は多量に分泌して有害なものを洗い流します。そして洗い流した液は塁間を通って鼻腔に抜けます。これが健康な状態です。
目やにが多くなる尾は、眼球をおおって保護している結膜や瞬膜の病気の場合にみられ、結膜炎、瞬膜炎をはじめ、角膜炎、眼瞼炎などがあり、ゴミなどによってできた傷がもとでおきる炎症や、眼瞼内反症(逆さまつげ)のようにまつ毛によって傷がつくこともあります。目やにといわれるのはこうした粘稠性の高い分泌物や炎症による浸出物のことで、塁間を通らずにまぶたの外にあふれるのです。眼の病気ばかりではなく、ジステンパーのような伝染病では、一つの症状として目やにが出ることもあります。
両目か片目かによって異常の原因がある程度わかります。


・両目が外を向いている
哺乳動物にも斜視がおこることがあります。これは、人の場合と同じように眼球をささえている筋肉の緊張力のバランスの異常によっておこる症状です。
犬や猫では、たとえばトキソプラズマ症による脳水腫の時に一つの症状としてあらわれることが多いようです。両目がともに外側のやや斜め下を向いています。(俗に8時20分の方向と呼んでいます)。たいていは生まれてから1〜2カ月の間に気づくことが多く、生後3〜4カ月目に死ぬ例が多いようです。これは先天的と後天的な例があります。水頭症にかかると、大泉門や小泉門が開口している(人の赤ちゃんの頭の骨に隙間が開いてぺこぺこ動いている状態。ふつう生後10カ月くらいで閉じる)場合が多く、とくにあつかいには注意が肝要です。獣医師の診断をぜひ受けるべきでしょう。トキソプラズマ症のところを参考にみておいてください。

・眼球が白色や赤色にみえる
明るいところでよく見ると、瞳の奥が白く濁って見えることがあります。ふつうは白内障です。一般には老齢の動物に多くみられますが、若いうちにかかることもあります。
人とひがって動物では手術によって治すのが難しく、多くは富士の病になりがちですが、病気の進行をおさえる方法がありますから、一度診察を受けた方がよいでしょう。
眼球のいちばん表面の膜が白く濁った場合は角膜炎です。これには多くの原因と手当の方法があり、早期に診察を受ければほとんどが治ります。
また眼球に出血があったり、角膜に血管の申請がおこって赤く見えることがあります。単純には眼球の打撲や炎症による充血や出血が想像できますが、その原因について獣医師と一緒に考えてもらうことが大切です。
目の輝きは健康状態をあらわしていますから、ときどき真正面からニラメッコをしてください。

・瞬膜がはれて眼球が隠れる
瞬膜というのは、まぶた(眼瞼)の裏側にあって、眼を開いているときには、まぶたの内側に収まっています。眼球に湿り気をを与え、外からの刺激に対して角膜を保護する役割を果たします。
ところが、この膜が飛び出して、眼球を半分くらいまで覆ったままになることがあります。
原因は、比較的重症の結膜炎と共に起こる瞬膜炎によることがおおく、リンパ節などが瞬膜の炎症にともなってはれ、飛び出してくるのですが、簡単には引っ込みません。
また、瞬膜は眼球がまぶたおおわれる(眼をつぶる)と内側で自然に広がるようになっていますから、栄養状態が悪くなったり、大病で急にやせたりすると瞬膜が出てきます。
瞬膜が傷つきますと、眼球を保護する力が劣ることになります。ですから早く手当てを受けなければなりません。