皮膚のこと - かゆがる

体のどこかに、かゆいところがあると、そのかゆみの程度に応じてかくことは、誰でも知っていますが、動物は自分の爪を使ってかく他に、足が届かない場所は前歯や犬歯を使います。これもダメとなると、壁や床あるいは砂場などで、からだをこすりつけたり、転げ回ってかきます。
このような時、飼い主は、必ず痒がる所の皮膚の状態をよく観察して下さい。赤いポツポツができていたり、皮膚がはれ上がっていたり、脱毛があったり、フケが溜まっていたり、外部寄生虫のさした跡があったりします。おもに皮膚病の一つの症状として痒覚の程度にあわせてかくわけです。
ノミやダニ、疥癬、アカラスなどで、人が肉眼で見てすぐそれとわかるものと、専門家が顕微鏡で検査しなければ分からないものとがあります。また、真菌による皮膚病もかなり多発しています。
からだをかゆがっていたら、そのかき方、かく場所、つまり耳の後ろだとか背中だとか足だとかをはっきり見極めて、その場所が目で見てどんな様子なのかも確かめて下さい。
治療のために獣医師から毛を刈るように指示があった時は、潔く従った方が得策です。ほんの少しの毛を刈り取るのを拒んだために、あとから全身の皮膚にまで広がってしまう例もあり、体中がハゲになってしまう例も少なくありません。疥癬やアカラスに気づかず、全身に広がってしまうともはや手遅れで生命にかかわることもあります。
特定の皮膚病でなくても体が痒いこともあります。手入れの悪い不潔な動物で、ブラシもかけない、ふろにも入れてやらないという例です。これは飼い主の責任です。
からだの表面が不潔ですと、そこを爪や騎馬で引っ掻くときに皮膚に傷ができて、化膿性皮膚炎をおこしたり、皮下組織まで侵されることもあります。皮膚から浸入した細菌によって局所に膿瘍やフレグモーネをおこし、これらがもとで敗血症や全身的な膿瘍まで発展してしまうこともあります。