手術日記(写真)
停留睾丸

停留睾丸とは、陰のうに降下せず腹腔やそけい部に留まった睾丸のことを言います。
普通生後約6か月ぐらいを目安に、それ以降の降下はあまり期待できません。
腹腔内に留まった睾丸をそのままにしておくと腫瘍になる恐れがあります。
停留睾丸は遺伝性が強く、繁殖する予定がないのであれば去勢することをオススメします。

先日、『脱毛や雄なのに乳首が腫れている』わんちゃんが来院されました。
診察していくと、それ以外にも皮膚が黒ずんでいたり前立腺が大きくなっていることが分かり、メス化の症状にとても近く、去勢手術をしていないのに睾丸が一つしかないのでエコーでお腹の中を確認しました。

お腹の中をエコーで確認したところ、左の写真のように大きな黒い影が見つかり?停留睾丸?の可能性が高まりました。

転移などの可能性も考え、すぐに摘出の手術をしました。
開腹したところ、黒い影の正体は?腫瘍化した睾丸?でした。

リガシュアー(電気メス)で切除します。
その後、切開した腹部を縫合して手術完了!

取り除いた停留睾丸(上)と通常の睾丸(下)です。
今回、停留睾丸(上)を病理検査に出しました。
結果は?セリトリ細胞腫?という悪性腫瘍でした。
稀ではありますが、転移する症状も存在します。